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本研究プログラムにおける中心研究者(山海嘉之)が『サイバニクス』技術を駆使した最先端人支援技術研究を推進する上で必要な研究テーマをそれぞれの分野の先生に加わっていただき、推進しています。

HALを用いたリハビリテーションが脳機能へ与える効果の検討

松村 明

医学医療系 教授(脳神経外科、筑波大学附属病院 副病院長)

研究協力者

鮎澤聡(筑波医療技術大学保険科学部 准教授)、中井啓(医学医療系 講師)、松下明(サイバニクス研究コア 助教)、吉川文人(サイバニクス研究コア 研究員)、五月女康作(サイバニクス研究コア 研究員)

リハビリテーション効果は、これまでに多くの理学療法的な、あるいは生理学的な評価手法が開発されており、日常診療でもよく用いられている。近年、より客観的で脳機能的なアプローチによる評価を求められるようになり、リハビリテーション前後にfMRIやNIRSなどの脳機能画像を用いて、評価することが行われるようになってきた。しかしながら、fMRIによる認知機能や上肢運動機能の研究に比べ、下肢運動機能に関する研究は、あまり行われていない。MRI内という特殊な環境であること、また、特に下肢運動では運動に伴う頭部の動きが撮影に大きな影響を与えるため、この分野の研究を困難にしていた。

我々はまず、下肢運動時の頭部の動きの抑制、あるいは補正を行うために、新しい装置や撮影方法(シークエンス)の開発を行ってきた。また、研究を支援するための装置(MRI室内でも動作する下肢運動支援装置や感覚刺激装置など)の開発を工学の研究者の協力を得て行っている。このような装置やシークエンスの研究開発は、診療目的で日常的に使用しているMRI装置の中では行えないものがあったが、本FIRSTプログラムにおいて研究専用MRIが導入されたことで実現することができた。この結果、これまであまり検討されてこなかった、下肢運動の頻度、受動的運動と自動運動が脳に与える影響などの研究を進めることができた。

また、本年度に入ってからは、現在、筑波大学附属病院において行われているHALの実証試験前後の脳(機能)画像を取得し、HALを用いたリハビリテーションが対象者の脳に与えた影響についての検討を開始した。解析は、(1)下肢運動時のfMRI、(2)resting state fMRIによるfunctional connectivity、(3)Diffusion tensor imageによる皮質脊髄路を含む白質の異方性、(4)皮質脊髄路を中心にT2緩和時間、(5)高精細T1-WIによる脳皮質体積を評価に用いている。現在も症例を蓄積中であるが、すでに興味深い結果が見られている。今後も症例を重ね、並行して行っている基礎的な研究結果に照らし合わせて、より詳しい検討を行っていく。

図 この図は下肢運動時(左:右下肢運動時、右:左下肢運動時)のfMRIの結果である。下肢運動の左右差がある方だが、その運動機能に一致した運動野の活動がとらえられている。

また歩行以外でも、本FIRSTプログラムにおいて開発が行われてきた嚥下を評価するデバイスを用いて、嚥下の評価および嚥下リハビリテーションを支援する試みも行っている。現在、本格的な臨床研究が開始できる段階となった。

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